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ホフテストってなに?

フィジカル能力とテクニックは非常に優れた選手の2つの大きな特徴である。これら2つの能力は決して独立したものではなく、密接にリンクしている。

 

選手の有酸素能力やフィットネスレベルは、試合における選手のテクニック的なパフォーマンスに大きな影響を与える。研究ではフィットネスの優れたプレーヤーがテクニック的にも優れていることが示されている。特に、試合の後半ではそれがより顕著になってくる。ここからも、コーチは常に両方の能力も伸ばす方法を模索している。現在は、選べるだけの多くのドリルや練習メニューがある。これらは、長い距離のランニング・インターバルトレーニングからドリブルやリフティングのような特定のテクニックのトレーニングまで幅広い。練習時間を最適なものにするために、サッカーのスキルトレーニングの中に高いフィジカル強度を取り込んだものは、優れたトレーニングであると言える。

数年前に、ノルウェー科学技術大学のドクター、ヤン・ホフが持久力トレーニングにサッカーのスキルを取り入れたプログラムを開発した。それは、ホフ・テストもしくはサーキットと呼ばれ、走る方向の変化やボールリフティング、ドリブルなどを含んだものである。ホフ・テストはフィットネス向上の定期的なトレーニングとしてこの練習が取り入れることができると示された。

ホフ・サーキットは時々ホフ・テストともホフ・トラックとも言われる。一般的なプログラムは下の図を参考にしてもらいたい。選手は、ドリブルでコーンを通ったり、30cmの高さのバーの上を通ったりする。そして、選手は次のコーンに移動する。A地点とB地点の間で、選手はボールコントロールしながらターンや後方へのドリブルを行う。コースのレイアウトにもよるが、正確に測れば総距離は290m程度になるだろう。

トレーニングとして、4セット行う。4セットはそれぞれ各4分間、その間のインターバルは3分で、インターバル中は軽いジョギングを行う。つまり4分×4(トレーニング)+3分×3(インターバル)で25分のトレーニングとなる。理想としては、選手は最大心拍数の90~95%程度の運動強度でトレーニングしてもらいたい。しかし、強度は選手の特定の状況、フィットネスレベル、テクニックレベルに応じて変化させることもできる。他のインターバルトレーニングと同様に、トレーニングやインターバルの長さなどを変えることも可能である。

研究者たちは、若くて経験豊かな選手たちでホフ・テストの効果を評価した。彼らは、ホフ・テストがスモールサイドゲームやインターバル走と同様に、エネルギー消費を引き出すことがわかった。これは、フィットネストレーニングの方法として1つの方法となる。トレーニングを取り入れて数週間後、フィットネス面での上昇では、最大酸素摂取量の面で他のトレーニングにも匹敵していた。例えば、セルティックフットボールクラブのドクター、マクミランは17歳のプロフェッショナル選手にホフ・テストを採用していた。彼は、選手たちに通常の練習が終わった後に、週2回定期的にホフ・テストを行うように指示した。そして、10週間後には最大酸素摂取量が9%アップしていた。

また、ホフ・テストでは、選手は特定時間内にできるだけ多くのサーキットが完了するように求められる。成功するためには、選手はフィットネスとボールコントロールの両方が求められる。練習では、それぞれの目標は、選手の年齢、能力、フィットネスレベルなどによって変化させるべきだろう。いずれにしても、このテストは選手のボールコントロールとフィットネスの両方を見るには効果的であるといえる。

ホフ・テストの目的はフィットネスとボールコントロールの向上であるが、サッカーの試合でのスキルやパフォーマンスに直接的な影響があるのかを誰も指摘していないことは重要な論点である。つまり、試合に役立つテクニックが得られているのかを示す研究はまだない。しかしながら、持久力トレーニングは試合のパフォーマンスを高め、ホフ・テストは持久力を高める。これに基づけば、理論的にはホフ・テストは試合のパフォーマンスとスキルを向上させることになる。とくにホフ・テストはボールを扱いながらフィットネストレーニングができるという点においても良い言えるだろう。

研究者は、ホフ・テストは選手のフィットネスの向上や持久力測定のために非常に使いやすいと評価している。このプログラムの利点は、選手の成功に関わるさまざまな要素を含んでいることである。-フィットネス、ボールコントロール、ターンの能力など。また、定期的な練習メニューにとても簡単に組み込むことができることも大きな点だろう。(了)

 

【ホフテスト基本概要】※選手の年齢、能力、フィットネス条件などにより異なる

・4分×4セット→最大心拍数の90~95%程度の目安で

・インターバルは3分間ジョギング→最大心拍数の60~70%程度  合計25分間

練習方法※ボールは常に保持する

・コーン7~コーン8までは、後ろ走りでのドリブル

・3つのハードル(30cm~35cm)、22個のコーンが必要

・3つ目のハードルから1つ目のコーンは30.5mで、各コーン同士の距離は25.5m

・ハードルは飛び越える

 

References

Chamari K, Hachana Y, Kaouech F, Jeddi R, Moussa-Chamari I, Wisløff U. (2005) Endurance training and testing with the ball in young elite soccer players.
British Journal of Sports Medicine, 39:24-28.

McMillan K, Helgerud J, Grant SJ, Newell J, Wilson J, Macdonald R, Hoff J. (2005) Lactate threshold responses to a season of professional British youth soccer. British Journal of Sports Medicine, 39:432-436.

Hoff J, Wisløff U, Engen LC, Kemi OJ, Helgerud J. (2002) Soccer specific aerobic endurance training. British Journal of Sports Medicine, 36:218-221.