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「実行機能」:エリート選手の創造的な側面~

サッカー選手の才能や成功の可能性を探るとき、多くの場合、フィジカルやテクニック面に焦点をあてることが多いだろう。スピード、カラダの大きさ、ボールスキルなどは評価プロセスの多くを支配することもある。

 

 しかし、サッカーのメンタル的な側面に関してはどうであろう?選手の考える力は将来の成功を予測するものになるのだろうか?このメンタル的な側面を「実行機能」と呼び、その概念としては、「思考と行動における両面を調整する認識力」と定義する。これら認識力は、計画性や問題解決能力、創造力、他者からのフィードバックの活用、思考の柔軟性(行動計画を迅速に変更できるか)を含んでいる。サッカーのようなスポーツでは、プレイヤーは、次にどんなプレーをするか決めるために、過去の経験を頼りに、状況に対しての膨大な量の情報、工程、判断を継続的に処理しなければならない。選手たちは、また置かれたことない局面や新しい機会に対しての柔軟性を持っていなければならない。それに加えて、攻撃時には、プランがあり、実行があり、コンマ何秒での判断修正さえ求められる。このことは、高いレベルの「実行機能」をもっていれば、プレイヤーにとって利益になることを示している。スウェーデンの研究では、トップレベルの選手にはこの傾向が見られると言っている。彼らは、この心理的な特性は、選手の成功に関して重要なポテンシャルであるとしている。

この研究では、スウェーデンの男女のプロサッカー選手を比較しておこなった。対象は、トップ(1部)リーグでのプレー経験のある選手たちと、下部リーグ(2部、3部)の選手たちを比較した。

全ての選手が、この「実行機能」を測定するために用意された心理テストを受けた。これらは「設計の柔軟性」に関するテストであり、「Hand and Pen」と言われるテストであった。これは、様々なプロセス、創造性、柔軟な認知力を測るためのテストである。このテストでは、様々に配置された"点"が与えられる。そしてこれを可能な限り一本の線で点を正方形に繋げるといったものであった。これは60秒以内に出来るだけ多くの正方形を見つけるかといったものである。

 

 この結果では、全ての選手の平均値は一般的な成人よりも高い数値を示しており、サッカー選手が高い「実行機能」を有することを示していた。実際のところ、トップリーグの選手たちは、一般成人の上位5%に位置していた。そして、男女ともにトップリーグの選手たちは、下部リーグの選手たちと比較して15%程高いスコアを出していた。これにより、研究者達は、これら「実行機能」の能力がトップレベルのサッカー選手にとって重要な性質であり、この特性は選手の将来の成功を予想するものと結論付けた。

 

 この研究は2つのグループの概略であることを考慮にいれなければならない。それゆえに、原因と効果について示唆することは難しい。高い「実行機能」(※行動と思考を調整する能力として定義)は、よりレベルの高い選手を生み出すのか?あるいは、高いレベルでのプレーが「実行機能」を向上させるのか?多くの人は、この「実行機能」は生涯を通じて比較的安定しているものだと感じている。それはある意味IQのように、生まれつきの遺伝的な要素であり、向上はできるが、それは幅の小さいものに過ぎないものであると。そして、行動や思考を調整する能力を向上させるトレーニングというのは通常、かなり厳しいプログラムを伴うものである。それゆえに、サッカーをすることで「実行機能」が高まると考えるよりも、高い「実行機能」がサッカーのパフォーマンスに影響を与えていると考える方が現実的であろう。

SSO(Soccer Science of Online)は、以前に「状況判断(Decision Making)」の重要性について説明を行った。2年前、オランダのエリートプレイヤーは、ポジショニングと判断力が高いことがわかった。(リンク参照:http://soccercoaching.jp/read.php?id=1323442860) 戦術の自己理解力において、エリート選手は戦術の状況を理解して、その決定をプレーに反映していくことが、平均的な選手よりも優れているといことであった。現在の研究の結果では、この能力は必ずしもエリート選手たちがサッカーの試合に慣れているから高いわけではないことを示している。それよりも、状況を注意深く分析して複雑な問題に対して創造的な解決策まで見つけられる生まれつきの性格によるところが大きいとしている。これは、エリート選手たちがより良い状況判断を導くために創造的に考えているということであった。

多くのコーチやプレイヤーにとって、この「実行機能」は新しい言葉であるかもしれないが、新しい概念ではないだろう。多くの人は、ゲームの流れを読み、何もない所からチャンスを生み出す創造的なプレーをする選手に驚き感嘆する。それは試合を見ていても明らかにわかるものである。ただ残念なことに、「実行機能]は才能ある選手を特定する際に見過ごされてしまうタイプのものなのかもしれいない。この研究の著者が示唆することには、コーチは単に身体能力、ボールコントロールや良いプレーをしているかといったものだけで才能ある選手をきめるべきではないとしている。「実行機能」、「問題解決力」、「創造的側面」の特性は、プレイヤーがトップレベルの選手になるだけの才能があるか判断する一助になるかもしれない。

 

Reference


Vestberg T, Gustafson R, Maurex L, Ingvar M, Petrovic P (2012) Executive functions predict the success of top-soccer players, PLos ONE, 7: e34731.

 The Science of Soccer Online: Executive Function: The Creative Side of Elite Soccer

 

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スポーツ・運動と健康の関係

 今日の最も差し迫った健康上の問題といえば、肥満の発生率の増加である。より多くの子供達が肥満に分類されて、この超過した体重は、成人になっても結果として引き継がれて、健康の問題に直面することになる。

 

「肥満の蔓延」として問題視されるものには、専門家は肥満の上昇は運動不足と摂取カロリーの超過が原因であるとしている。歴史的には、医師は運動不足の健康への影響について国民へ警告を発している。ヒポクラテスの時代までさかのぼっても、定期的な運動の重要性は強調されている。「Science of Soccer Online」では、スポーツ及びユース年代のサッカープログラムが、運動の機会の増加と肥満撃退の重要な役割になることを強調している。しかしながら、国民の健康増進においてスポーツの推奨は新しいコンセプトのものではない。1800年代の半ばにBritish Medical Journal(以下BMJ)の編集者より寄稿された2つの記事では、もしスポーツやエクササイズが極端に減少したり、もしくは無くなってしまったら何が起こりえるのかを警告している。

 

最初の記事は、イートン校の校長である、エドワード博士への返答文として書かれている。1857年、エドワード博士は、「若者の放蕩と支出の増大につながるとの口実」で、学校のクリケットの試合を取りやめることにした。基本的には、彼はスポーツは、時間と体力の無駄であり、教育機関においてスポーツの余地などないと感じていた。

 

BMJの記者は断固反対した。学校は、教育課程の一つのパートとしスポーツや運動を行うように推奨するべきだと議論を持ちかけた。「真の意味での有能な人間形成には、筋肉は脳と同様にエクササイズをさせなければならない。あなたの学校の顔色の悪い生徒達は、人間らしさがないし、世界の歴史の中で時代を生み出すような強い活動は彼らには絶対生み出せないだろう。フットボールクリケット、乗馬や射撃はメンタルトレーニングを必要とするものだし、そして新しい時代を生み出す原動力でもある。

 

明らかに、BMJは心と身体を伴った適切な教育が必要と感じていた。彼らは、New York Timesのイギリスと比較した際のアメリカの運動不足の記事を引用して、こう続けた。

「知性のバランスを欠いた独裁は、私達がアメリカで労働をする下では、最も辛らつな社会的呪縛である。全ての種類のスポーツ、そして特に脳や身体の発達に効果的なスポーツ、そして、元気にイキイキと活動できることは、「運動マインド」とでも呼ぶできものであるが、我々には決して推奨されていない。私達の運動の機会はほとんど生活の中でチャンスはない。私達はただ神経を使うために存在している。」

NYTの記者が言及することは、運動と組織スポーツを犠牲にすることは、意思決定の能力や分別のある考えを発展させる機会を制限して、バランスを欠いた状態になるということである。スポーツや運動の欠落は、他の社会的な病気の原因にもなる。

 

 BMJ(British Medical Journal)が強く感じていることは、教育は「学問的な部分」と「身体的な部分」をなくして完成できないということである。

 

次の記事は、最初の記事から1年以内に発行されたものである。当時、教育委員会のメンバーは議論を行っていた。Hawtry博士は、学術的なものを強調しすぎて身体的な活動を軽視していると。再び、BMJはスポーツと身体活動が重要であることをアメリカとイギリスの身体的な活動を対比して事例を出した。

「私達の間にある現在の風潮を小さな意見として扱ってしまうと、イギリス人はさらに人間らしさを失うようになり、身体的な能力は他の国よりも低くなってしまうだろう。大西洋をこえて見てみれば、健康で、陽気で、身体的にも健康なイギリス人が、簡単に血色の悪い、悲観的で、あごのやせ細ったアメリカ人になってしまうことがわかる。

 

そして、「もし、アメリカ人に運動を推奨しても、彼らは疑問しか抱かないだろう。アメリカの学生は、イギリスの学生がフットボールで身体を酷使したり、風の中でヨットをすることをおかしいさえと考えている。」

この点で、定期的な運動なしでは、アメリカに住むイギリス人は、病的で、イライラして怠惰になっていくということであった。アメリカでは運動の大切さというのは、ほとんど理解されていなかった。編集者は、アメリカ人の足の筋肉があまりにも欠いていることを指摘し、「特別な証拠なしにこの現実を暗示する事柄」であり、洋服の仕立て屋では、アメリカ人の身体用に洋服を再度デザインする必要さえあった。

これらのことを、1800年代の医学のライターがどのように感じているか言及している。

BMJの編集者は、公立の学校はどのように運動不足の問題と国民の健康増進の問題を取り扱うべきかを力説している。

「大学や公立学校では、若者向けのゲームやスポーツを行うべきとして、そして医療関係者は、現在の学校でプログラムは健康にとってよくない傾向であることを指摘するべきと考えている。」

この年代への良い活動という面(人間形成に関して)では、私達は運動や体育をしないとうことは教育として「構築」よりも「破壊」に近いと考えざる得ないということであった。「科学の達人」として熟達した人間にはなるかもしれないが、彼らは決して、勇敢で、健康であり、活発であり、仲間と外でのアドベンチャー的なものを好む人間にはなれないだろう。

終わりに、BMJの編集者は身体活動を犠牲にして学問的なものにだけ投資する考えに対して警告を発している。身体の健康を犠牲にして学ぶことは、健康の発達と自尊心、独立性という点で限界があるということである。

 1800年の半ばに、医者は運動不足に対して警告している。これにも関わらず、公立学校での体育授業やスポーツの機会は、一定のレベルで年々減少している。それと同時に、肥満の増加と運動不足に起因する病気は増加している。また、自尊心や自立性の性格に影響を与えるという議論もある。最近の研究では、高校時代に何らかのスポーツを行っていた人たちは、成人になったあとでも、スポーツを行っていなかったクラスメイトよりもより健康で、アクティブであるということがわかっている。

BMJの編集者が言っていることは全て正しいのか?という疑問もある。運動不足や体育教育の不足が健康の問題を本当に引き起こすのだろうか?おそらく、何らかの影響はあるだろう。しかしながら、現代の経済社会においても、学校の体育教育が時間的に増加しているようには思えない。しかし、これこそが、地域のサッカークラブが、「ココロとカラダのバランスを教育する場」として、入り込んでいくべきところでもある。ココロとカラダの発達を大事にするスポーツクラブとして、「フィジカルマインド」とでも呼ぶべき、活発で、シャープで、回転の早い、アタマとカラダを形成する場として、サッカークラブが、健康増進の活発な活動を行う場として、そして生涯スポーツの場として奨励できるだろう。

 

References:

The Value of Physical Training, The British Medical Journal, 1 (26): 548-549, 1857.

Physical Education, The British Medical Journal, 1 (57): 91-92, 1858.

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バランストレーニングを通じたハムストリングの怪我予防 

サッカー選手にとって、ハムストリングの怪我は日常にありふれたものであるだろう。ハムストリングの損傷の重症度は、足首や膝の靭帯損傷などよりも復帰までに時間を要するものではないが、時として重大な問題を引き起こすこともある。

 

ハムストリングの怪我からの復帰は数週間にも及ぶこともある。加えて、再発の可能性はとても高い。場合によっては、ハムストリングの断裂は、選手のキャリアに影響を及ぼすほどに長期間、深刻な問題となる。この点から、トレーナーは怪我のリスクをいかに減らすかに興味を抱くだろう。ドイツのハノーバー医療学校の研究では、サッカーの特定のバランストレーニングのプログラムがハムストリングの怪我を著しく低下させるという研究結果が見つかっている。

3年間の研究では、トップリーグに所属している24名の女性サッカープレイヤー(平均年齢21歳)を対象におこなった。1年目、最初の半分のシーズンではバランストレーニングを行わなかった。次の2年半では、通常のトレーニングセッションの中にバランストレーニングを組み込んだ。コーチは、各シーズンで何時間バランストレーニングに取り組んだか、そして何時間サッカートレーニングと試合を行ったかを記録し、そして、すべての怪我も、ボディコンタクトの有、無とあわせて記録をとった。

 

バランストレーニングは12のエクササイズから構成されていた。エクササイズは、片足立ちや体幹のバランストレーニング、障害物コースのランニング、片足でのジャンプ&着地といったもので、全ては体の自重トレーニングのみであった。トレーニングはウォーミングアップの10分~15分を使った。

 

最初の半年間は、1000時間のプレー時間の中で(練習や試合)、12件のハムストリングの故障が起きた。そして、バランストレーニングの導入の後では、これらの怪我は5件となり、60%もの削減に成功した。腰や背中の故障も、また1000時間で3.5件が1件、約70%削減することができた。また、バランストレーニングはハムストリングと腰の故障からの復帰期間の短縮にも一役買っていた。

 

バランストレーニングの取り込みは怪我の発生率を低減するキーポイントであった。そして、より長い時間、長い期間取り組むことにより、その発生率はますます低下していく結果になった。

 

そして、研究において、身体の変化が示したことはバランストレーニングを取り入れたウォーミングアップはサッカートレーニングとしても効果のあるものであった。バランストレーニングが定期的に行われた時には、怪我のリスクはより低くなった。ただ、一言付け加えておくならば、この研究は、バランストレーニングがハムストリングの怪我予防の方法として「絶対的なもの」として扱われることを示しているわけではない。つまり、他の種類のトレーニング、例えば筋力トレーニング、柔軟性、可動域拡大のトレーニングも重要であり、もちろん否定されるものではない。研究結果が示すものとしては、バランストレーニングはハムストリングの故障を防ぐ、もう一つの方法になるだろうということであった。

 

バランストレーニングは怪我予防という観点から、FIFA11+と同じように重要なものとなるだろう。FIFAのプログラムにもいくつかのバランストレーニングは含まれているし、バランスを向上させる狙いのトレーニングもある。また、研究員はFIFAのプログラムは、前十字の怪我のリスク低減にも効果的だと示しており、もちろん、ハムストリングと背中の怪我予防にも効果的である。

 

アスリートの観点からキーポイントをあげると、「経験則からいえることは、これらのトレーニングは、怪我予防の観点から軽視しないでほしい」ということであり、言い換えると、定期的な怪我予防のプログラムはアスリートの健康にはとても重要であるということであった。これは、若いアスリートを相手にしているコーチやトレーナーにとって非常に重要である。若い選手にとって怪我の代償はより大きくなる。治療やリハビリの金銭的な費用、プレーできない時間、長期的な複合的怪我のリスクはいずれも重要な問題であり、短期的・長期的な怪我(ハムストリング断裂、前十字断裂、足首の捻挫など)から選手を守るために、コーチは通常の練習メニューにこのようなタイプのバランストレーニングを加えていただきたい。(了)

リンク:FIFA11+(日本語版) http://www.jfa.or.jp/jfa/medical/11plus.html

<参考文献>

Kraemer R, Knobloch K (2010) A soccer-specific balance training program for hamstring muscle and patellar and Achilles tendon injuries. American Journal of Sports Medicine, 37:1384-1393

 

 参照:The Science of Soccer Online: Hamstring Injury Prevention Through Balance Training

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サッカー基本技術 ボール・シールディング

 ジュニア年代の選手たちに、基本的なボールキープの技術を教えることは必須である。「絶対条件」ともいえるボールコントロールの仕方、ボールシールディング(相手選手とボールの間に体を入れて、ボールをガードする技術)、守備の面でのボール奪取方法、そしてもちろん攻撃時のフェイント技術などの基礎をしっかりとコーチングすることは、将来のチームのための大きな投資といえるだろう。

 

現代サッカー界の中心にいる指導者たちもジュニア年代でのサッカー指導(手引き)の欠如は長期的にそれぞれの国の代表チームにすら影響を与えかねない、と指摘している。ある国際的なサッカー監督はジュニア年代で、技術を重視せずにロングボールで打開しようとするサッカーが強調されていることこそ問題の根底だと提言している。

イングランド代表クリス・ワドル氏が海外での指導に赴いたとき、どのように点をとるかのみではなくボールをとられないようにキープすることに時間が割かれた。ボールをコントロールし、シールド(体を間に入れて守る)する、そして周りのサポートを待つことができる。ワドル氏はそういった基礎の徹底の必要性を強く認識し、ジュニアレベルの指導に組み込むよう、全コーチに要請した。

 

さてこのボールシールディング、ではどのように行えば正しいのか。

第一歩はとにかくはやくボールを自分の間合いにコントロールすること。そして自身の体を相手とボールの間に入れてボールを守る。これが、ボールをまたいで足でカバーする動き、若干難易度は上がるが、ボールを体の横や後ろに引くことと同じく基本事項となる。ボールを引いてのシールディングは両足を共に使えるような能力が必要とされる。

ただシールディング時の特に重要なポイントの一つは、「膝を曲げ、腕を広げて、相手のプレッシャーを跳ね返すようにする」ことである。

選手たちには、お尻を落とし、膝を曲げ相手を押し返すようにさせる。重心は軸足にかけ、ボールコントロールはフリーな方の足(相手から遠い方の足)で行う。

 

 

このボールシールディングを練習の中で組み込むには、例えば、3メートル四方ほどのグリッド内で同じぐらいの体格の選手2人でボールの取り合いをさせるといい。もちろんエリア内でしっかりとボールシールディングに取り組ませる。その時にはボールを引き寄せたり、ボールタッチを繰り返したりしながらボールを守らせるようにする。

 

 

コーチとして、サッカー指導時はいつもボールを保持するためのテクニックを教えることを心がけるべきである。選手一人一人が、自分は相手選手にボールを奪われない技術を持っているんだと思って入れば、自然な自信から、視線が上がり、これによりパス相手を容易に見つけることができる。

反対にこういった自信を備えていない選手からは、パスミスが頻発するかもしれない。ほんの少しのプレッシャーで、状況判断に困ってしまうせいである(10メートルほど離れた相手からももしかしたら圧迫感を感じ、慌ててしまうことすらもある)。

言葉は厳しいかもしれないが、上記のグリッドで7-8秒ほどしっかりとボールキープできない限り、なかなか自信にあふれたプレーを試合中にみせることは難しいだろう。

 参照:Soccer coaching drills and tips for ball holding basics | Soccer Coach Weekly

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サッカーコーチに求められる10の人間性

有能なサッカーコーチであるためには、サッカーについて深い知識を持っているだけでは足りないだろう。コーチは、自分自身を優れたコーチへと成長させ、勝てるチームへと導くことができる優れたキャラクター・性格を持つ必要がある。

 

成功するサッカーチームは、ただ技術的・身体的な部分だけに頼っているわけではない。そういったものに加え、サッカーコーチは能力を十分に発揮させるためのスキルも身につけていく必要がある。

以下は、サッカーコーチに求められる10のキャラクターである。

1.模範的であること

全てのサッカーチームは模範となるサッカーコーチが必要である。選手にとって、模倣する価値のあるコーチが必要なのは理解いただけるだろう。もし、あなたがチームの模範的なコーチでありたいのであれば、1度自身をチェックをしてほしい。あなたは、選手への奉仕精神をもったリーダーであり、選手達はチームの成功をあなたに頼っているということを心に留めておいてほしい。それにより、あなたは、試合に勝つためにポジティブな態度で指導を行うだろう。もし、自分でも実践出来ないようなこと(生活態度や罰則など)を、選手に求めているとしたらそれは不適切であるだろう。

2.感じの良い外見

良いサッカーコーチであるためには、外見の重要性というものを見落としてはいけない。(ジャージ・スーツ問わず)清潔できちんとした装いを意識してほしい。清潔感というのは、あなたによりプロフェッショナルな指導者としての外見を加え、チームの信頼と尊敬を得る助けになるだろう。あなたは、選手の”模範的となる”サッカーコーチであるということを覚えていてほしい。

3.時間に正確であること

常に練習時間の前に着いていること。それにより、あなたは選手が練習を始める前にトレーニングの準備を整えることが出来る。これは、時間を無駄にしないだけでなく、練習を時間通りに進めることでトレーニングの目的にもしっかり焦点を充てる時間が取れる。もし、あなたが遅刻をするのなら、選手にとっては練習に飽きたり、もしくは、あなたのプロ意識が欠けていることで、選手も同じく我慢しないようになるキッカケになってしまうだろう。

4.良き先生であること

有能なサッカーコーチとは、また良い先生でもある。コーチの仕事としては、パスやドリブル、シュート、タックルのような基本的なサッカーの技術を教えることである。あなたは、チームがスキルを学び、成長することを促さなければならない。練習中にはわかりやすく、正しい指導を心掛けてほしい。そうでなければ、サッカーの"良いプレー""悪いプレー"の知識が備わっていない選手を指導することは出来ない。また、スキル練習において、ドリル練習などを実技で見せることは、話で伝えるよりもわかりやすい。

5.フレンドリー

選手に対してフレンドリーであることで、チーム内でのコーチ-選手間の良質な関係を構築してほしい。コーチは、選手のライフスタイルや興味を知ることで、選手個々のパーソナリティを理解する必要がある。これにより、あなたは色々な選手の感情、メンタルの特徴を分析でき、それに即した形で選手のモチベーションを上げる方法を考えられる。しかし、覚えておいていただきたいのは、選手に個別に対応はできるものの、あくまでプロフェッショナルとして中立であらなければならない。

6.良き聞き手であること

選手達のサッカーチームでの関わり合いを絶えず気にすることは重要である。そして、その1つのやり方は、毎試合後に選手の視点・考えを尋ねることである。サッカーコーチとして、あなたは良き聞き手でなければならない。それは、1人ひとり全ての選手が、全員に共有するべき素晴らしいアイデアを持っているからである。選手達からいつも意見を引き出し、出た意見を彼ら自身に考えさせるようにしてほしい。もし必要ならノートに取り、あなたの練習プランの助言として含めてほしい。

7.コミュニケーション能力

サッカーコーチがコミュニケーションの重要性を知ることは、とても大切なことである。これは、選手のパフォーマンスや到達度を把握することも含まれる。選手達により良くプレーすることを促し、良く出来た試合では彼らを褒めてほしい。そして、コーチの言葉というのは、選手にとって大きなインパクトをもたらすので、出来るだけあなた自身の普段どおりの言葉で話しかけるように意識してほしい。

.(選手に対しての)発展性

一人ひとりのサッカー選手がそれぞれ成長することはチームの発展に不可欠である。彼らのコーチそして、模範として、あなたは選手達にサッカーの基本的なスキルを教えるだけでなく、規律、忍耐、決断、チームワークのような社会的なスキルもまた教えてほしい。いつも、チームプレイヤーとして選手を成長させることをあなたの目標の1つとして置いてほしい。

9.チームのモチベーターであること

それぞれの選手がゲームでより良いプレーが出来るように、練習でのヤル気を引き出す必要がある。「どうして、君達はサッカーが上手くなりたいのか?強いチームになりたいのか?」という、彼らの目標や使命を度々、選手達に思い出させてほしい。励ましの言葉や成長への道すじを示すことは、とても有効な手立てである。

10.ゴール、目標を中心に捉えること

何が起ころうとも、いつもあなたのサッカーでのゴール・目標を見据えてほしい - なぜ、あなたはそんなに一生懸命働いているのか?なぜ、選手達は学ぼうと決めて、全てのインストラクションに付いてきてくれるのか?なぜ、選手の両親はあなたのチームを応援してくれるのか? みんなの共通の目標・ゴールへと到達するため、あなたはベストを尽くしている。そして、優れたサッカーコーチというのは、どうやってそのゴールを選手の心の中にイメージを持たせるかを知っている。

もし、あなたがこれらのサッカーコーチが持っておいてほしい10個の事柄を自身の指導に応用できるなら、サッカー選手からはきっと「お気に入りのコーチ」になるだろう。是非、ポテンシャルを最大限に引きだすチャンスを選手達には与えてほしい。サッカーという競技は、世界で一番楽しい競技なのだから。あなたから、選手達の心にそのことを植えつけてほしい。(了)

 Reference: 10 Characteristics of an Effective Soccer Coach

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ジュニア年代コーチングの手引き

ジュニア年代を教えるサッカーコーチにもっとも必要とされること・・・それは情熱である。これこそが一番重要な資質である。子供たちはコーチが熱心な努力家であればしっかりとついてくるだろう。

 

 

小さな年代では「学ぶこと」を退屈に思う子や、試合に勝つことに大して興味を示さない子もいる。さらにはどっちに攻めるのかがわからない子だっている。それでも子供たちを引き付けているのは、楽しみたい、試合したいという思いである。このことを念頭に、以下のうまくいくサッカー指導の手引きを読んでもらいたい。

 

大前提は考えること

なぜサッカーコーチになろうと思ったのか、それをいつも心にとめておこう。その上でどんな目標を見据えて、その練習メニューを組んだのかを考えよう。子供たちから信頼と尊敬を勝ち取り、コーチとしてチームの模範を示す存在となろう。熟慮された練習メニューを組むことで、子供たちはついてくるはずだ。情熱的でいながら、練習メニューを楽しめるものに工夫する。

 

批判よりも誉めること

子供たちに対して我慢強くなろう。批判ではなく、努力と頑張りを褒めることで、子供たちはより積極的にチャレンジする。コーチのしぐさや言動にも配慮するべきである。笑顔とポジティブな態度は良い影響をもたらす。一方、大声で叱るようなことはチーム内の規律に悪影響を及ぼすし、周りで見ている保護者達も不快に思うはずだ。公平に、前向きな目標を掲げながら、たくさんの声をかけよう。

 

豊富な知識は大きな味方

もしコーチがその練習テーマの要素となるテクニックや運動理論などに精通していれば、それを伝える際に大いに説得力がますこととなる。練習メニューは実際に自身でも試し、例えば負荷が強すぎる(しんどすぎる)、あるいは低すぎる(ラクすぎる)と言ったことは事前にチェックするべきだ。手本をみせることは、言葉で説明するよりも効果的である。もしコーチがある技術をうまく披露できなければ・・・、その時は誰かできる人を使えばいい。

 

 

 

怪我の予防も大事な役目

練習前後にストレッチをすることは必須事項だ。成長期の体はしっかりとケアされないといけない。練習に対しての体の反応やどのように怪我の予防をするかなどの知識も重要である。

 

個々を見ること

子供たちの中には他の子よりも課題達成により長い時間が必要な子もいる。だからと言ってその子が他の子に劣っているわけではない。コーチとして一人一人の成長スピードに合わせるべきであり、コーチのスピードに子供たちを合わせさせてはいけない。また確実に全員に用具や練習着がいきわたるようにしよう。自分だけ違う、ということから子供たちが傷つくこともある。座って待っている時間が長い練習は避けよう。全ての練習が競争の要素をもつ必要もない。

 

心理面へのコーチン

コーチは個人個人、そしてチーム自体に自信を持たせる役割を担う。彼らの目標を設定し、それぞれにしっかりと感情をコントロールさせ、子供たちが集中して取り組むことを促そう。コーチにとって子供たちの心理状態への働きかけは、身体的プレー能力へのものと同様に大きな役割である。(了)

 Reference: Skills and tips for successful youth soccer coaching

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子供のサッカーをピッチサイドで観る両親が気をつけたい15の約束

これは、「ユースコーチのための、選手とその両親とのコミュニケーションのとり方」について本を書いたミカエル・ラングロイス氏の記事を抜粋したものである。普段、選手の両親と接することも多いユース年代のコーチは、特にこのような点で両親に気をつけてほしいと感じることもあるかもしれない。

 

1. サッカーコーチに「コーチ・指導」を任せる。もし、あなたが自分の子供、もしくは他の選手に対してコーチと違うことを言っているとしたら、選手に困惑と動揺を与えてることになるだろう。

 

2. 両親がピッチサイドから選手に対して叫び声をあげていれば、多くのジュニア年代の選手にとっては、ピッチ上で技術を発揮したり、トライすることを躊躇してしまうだろう。子供には伸び伸びプレーさせなければならない。もし、我が子がしっかり指導されていれば、子供はピッチで何をするべきかをすでに知っている。もし、自分の子がミスをしたなら、それは「学ぶ」ための絶好の機会になるだろう。

 

. 他の両親のいる前で、特定の選手のプレーについて話をしない。あなたは、このような会話を何度耳にしたことがあるだろうか?「あの子がなんで試合で出ているのかわからない。」「あの子はスピードが足りない」...あまりに多くの両親が、まるで自分の子供が「スター」で、他人の子供が問題を抱えているように振舞ってしまう。ネガティブなコメントと態度は、害であり完全に不必要なものである。時としてユースチームの成功に不可欠な、「親同士の調和」を乱すことにもなる。

 

4. ネガティブなコメントに対しては我慢強く聞くことで、害となる行動を慎み、ポジティブな方法で問題を提起する。選手、家族、コーチのポジティブな面を話していく。

 

5. コーチへの不満を他の両親に言わないように最善を努める。一旦、不満がでると、それはまるで病気のように広まっていく。それが表に出る前に、両親はコーチのいない所で否定的な意見を話しているからである。(余談として、もしあなたが試合の戦略、プレー時間などでコーチに対して感じていることがあるならば、サッカーグラウンドではなくコーチに個別にアポイントをとって会うのが好ましい。)

 

6. ピッチサイドからはポジティブな声援を送る。選手を応援する。若い選手にとって、自分のやったミスを頻繁に思い出す必要はない。それはコーチがゲームの中、練習の中でしっかり指導していくだろう。それよりも、ジュニアの選手がピッチサイドからのあなたの声援を聞いたときには、(その声援により)いつも以上に頑張っている子供の姿を目にすることができるだろう。

 

7. 相手チームへの誹謗・中傷となる発言はしない。これは単純な問題で、私達は将来有望な子供について話しており、プロとしてお金を稼いでいる成人選手について話しているわけではない。私は、数年前のベースボールの試合について1つ思い出すことがある。あるチームの親が相手チームの子供のエラーについて大きな声で野次をした時に、相手チームの人たちは唖然として怒った。悪趣味で、品がないということ以上に、この類の野次やコメントは選手本人とその家族を傷つけるものになってしまう。

 

8. 相手チームの両親と健全でポジティブなふれ合いを出来るだけ持つようにする。あなたは、自分の子供のチームを勝たせたいと思うだろう。もちろん、それは相手チームの両親も同じである。しかし、それが私達の良識、特に社会良識を失わせることになってはならない。

 

9. 相手チームの両親は決して敵ではない。私達はピッチサイドに入る前に相手チームへのネガティブな感情を排除したことを確認してから観戦に入らなければならない。

 

10. ユース年代のスポーツ観戦で最も簡単なことは何であろうか?それは、レフェリーを非難することである。レフェリーを非難してはならない。必ずレフェリーの判断ミスは度々おこる。そして、不運なことに、それは直接的に試合の結果に影響を与えてしまう。概して、ユースサッカーでレフェリーを務める人たちは、ほとんど補償がない。そして、率直に言えば、技量もまちまちである。ただ、少なくともレフェリー達は、公平に客観的であろうとしている。

 

11. ピッチサイドでの両親のレフェリーに対しての感情的・批判的な態度は、ピッチでプレーする子供達もレフェリーを非難しても良いというサインになってしまい、より悪い影響を与える。他者を非難することは、スポーツの世界では真の成功にはならない。

 

12. 「ナイスジャッジ!」「サンキュー、レフェリー!」といった声援は、審判をより孤立させてしまうかもしれない。レフェリーは、常に確信を持って笛を吹いているし、実際に判定を行っている。このような表面的なサポートを示すことは、声の届く範囲にいる審判や運営にとってただ不快なものになるだろう。

 

13. 試合中のプレーに沿って、ピッチサイドを行ったりきたりする行為は、選手にとって不快なものであり、もし自分の選手達に指示をしたいのであれば、それは全く不必要なものである。選手を当惑させるし、全くの逆効果となる行為となる。もし、選手の「コーチ」をしたいのであれば、コーチ資格を取得して、コーチの仕事に応募して頂きたい。

 

14. 私達はみんな、熱の入った状態の時に、物事を言いたくなりがちである。しかし、私達はピッチの選手達が熱の入った状態でも不適切な行為を行うこと許していない。(※そのため、選手は罰則や警告・退場などがある) 私達のピッチサイドでの振舞いも、選手と同様の基準で振舞うべきである。自分の行いを見直して、自問してほしい。「今日の自分の行動・言動は、明日の自分が思い出した時に誇ることができるのか?」と。

 

15. 駐車場スペースは、熱を上げる場所ではない。コーチの決定、審判の笛、試合中の発言問わず、それをぶり返してはならない。試合後には、コーチや審判、相手チームの両親を困らせてはならない。家に帰って、リラックスしてほしい。子供とはポジティブな面について話してほしい。車で家路に着く時間は、時として試合と同じくらい重要なものである。子供、コーチ、チームメイトについて、できるだけ多くのポジティブな面について話をして、自分の子供にとって良い記憶が残る時間を作ってほしい。(了)

 Reference: Soccer Parents Fifteen Things To Keep In Mind While Watching From The Sidelines

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